2009年1月29日木曜日

「夢を見ない」

何回も、聞いた言葉

「夢を見よう」



2009年1月20日
海の向こうのどこかの国では、新しい大統領が、
時代は変わる。と叫んだ。

金融政策がどうこうとか、明日はわが身だとか
戦後最大の不況が直撃している。
何がおきてもおかしくない。そんな時代に僕らは生まれた。

私利私欲のために、今日も誰かが命を落とす。
自分の欲望のために、今日も誰かが傷つける。
自分の意思で、今度は自分を傷つける。

誰かのもとには金があり、
誰かのもとには金がない。
ぼくのもとにも、金はない。


くらしの中で、あたりまえのように
家族が家族を殺すニュースが流れている。
それも毎日のように。
報道するニュースキャスター。
装いはピンクのキャミソール。

チャンネルを変えれば、
人気があるのはお笑い番組だけ。
クイズ番組から出てきたアイドルユニット。
「大丈夫」をくりかえす。

素敵な言葉、楽しい。元気が出る。
それをみて、笑う。笑っていたい。
そう、ずっと。
もちろん。ぼくも。

だけど、わかってる。
きっとみんなわかってる。

「ずっと」なんて、ないんだ。




ミュージシャンは、
これからどんな言葉を歌っていくのだろう。

いつのまにか、テレビから
ミュージシャンはいなくなった。

正確に言うと、
テレビで、ミュージシャンは言葉を叫ばなくなった。

いつからなんだろう。

ぼくはリアルタイムで
本物のミュージシャンを見たことがないのかもしれない。
それは、とても悲しいことだ。

世界一有名なリバプール生まれの平和主義者は
ぼくが生まれた時。この世にいなかった。
とても悲しい。

ブラウン管越しに見たあなたは、笑っていた。
だけど、あなたは、そこにはいない。

もしあなたが生きていたら、何かが変わっただろうか?
もしあなたが生きていたら、この世の中になんと言っただろうか?
「想像できたかい?」


ひとつだけ。
僕が去年一番印象に残った「歌」の中の言葉がある。
それは、「君は何のために生きてるの?」
だった。

ふだん、街中の音楽をあまり聴かなかったぼくが、
流れてきた音の歌詞をここまではっきり覚えているのは
ここ最近、記憶になかった。

でも。
何のために?WHY?
そんなこと知らない。

否。よく考えれば、
何のために。じゃなく、
むしろもっと

「どうやって生きればいい?」

「これからどうやってくらしていけばいい?」

ぼくはそっちの方が知りたいよ。

もしかして、こんなことを思う世の中は
そこまで悪くなっているんじゃないか?
ぼくは、じいちゃんになれるのか?

抽象的な言葉を並べる。
それは、事実に触れるのが怖いから?
それともわからないから?

でもわかる。ぼくもそうだ。

それでもぼくたちは、この悲しい時代に生まれて
今を生きぬいていかないといけない。


「夢を見よう」


なんか、こう。夢なんか見ている場合じゃないと思うんだ。




冒頭の言葉を思い出す。
「時代は変わる」

んー?
なんかあったな。
ボブ・ディラン?1964年のアルバムか。
「The Times They Are a-Changin'」


たしかアルバム持ってたな。
聴きたいな。ひさしぶりに。
聴こう。シャンシャン。

~~~~~~~~~♪♪~~~~~~~~~~

「The Times They Are A-Changin'」(1964)

Bob Dylan 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


かっこいいなー。

「時代は変わる」か。

ディランは、歌の中で。

いますぐ、泳ぎだすことだ
さもないと、石みたいに水底に沈んでしまう。
時代はいま変わりつつあるから

と言っていた。

そう、今から目をそらしちゃいけない。
それよりもっとやることがあるはずだ。
今やらなきゃいけないことがあるはずだ。

部屋に閉じこもっていても仕方ないぞと。
世界は動いてるんだぜ。変わっていくんだぜと。
まぁ、ぼくは閉じこもってましたけどね。
すんません。


そんな「変わっていく」世の中から逃げ続けていた。ぼく。
自分が変わっていかないと
きっと何も変わらないんだと思う。

「今をどう生きていくか?」
なんだよな。きっと。

ずっとこのままっていうのは不可能だ。
そんな簡単な事に気がついたのは最近だ。
旅に出てから?
すごく最近だな。
泳がないとな。
流されるな。

何かを掴むのも何かを成し遂げるのも、
自分が動かないと何もはじまらない。
それを人に頼る事も出来なければ。
人に擦り付ける事も出来ない。いや。したくない。
だって自分の事だもん。かっこわるいもん。


そう、
ぼくは今まで何かに「ノー」と言うのが怖くて仕方なかった。

何かを否定する事で、その反対側を失うのが怖くて仕方がなかった。

ただ、いつかは決断しなくちゃいけない。

何かを得るということは、何かを捨てるということ。

何かを捨てるということは、何かを得るということ。

変わっていくなにかがあるとしたら、
ぼくはそれが第一歩なのかもしれない。

今を生きるために。「NO」

ぼくは、夢を見ない。

夢なんて見てる場合じゃない。

だから、

とりあえず、ぼくは。NOと言えるようになろう。

まずはそこからはじめてみよう。

あなたは小さい事だと笑うかもしれないけれど。


今日は寝よう。
なんだか、寝つけないけど。

おやすみ。