2008年12月27日土曜日

ミュージシャンVS漁師

ローカル線に揺られ、
八戸についた時、
外気温、マイナス7度。
肌が痛い。肌が痛い。肌が痛い!

しかも外で待ってたんだけど、
フェリー乗り場行きのバス。
なかなか来ないし・・・。

今日は、北日本は大嵐らしく。
高波警報やら、暴風警報やら、大雪警報やらが
とにかく必要以上に大盛り発令。
もうギャグマンガのような展開で笑うしかない。

凍えながら待ってたら
ようやく、トロトロとバスが来て、
フェリー埠頭までエッチラオッチラたどり着いたものの、
年末年始の帰省ラッシュにウカーっと巻き込まれ。
埠頭はワッシャワッシャものすごい人。

一番安い二等客室のチケットを買う。5000円。
電車に比べると随分安い。みんなフェリーにすればいいのにと思った。
もちろん、ギター背負ってる人なんて。ぼくだけ。




二等客室は、
なんか、電気屋さんによくある子供の遊び場を大きくした感じ。
目の前にあるのはまくら一個。適当雑魚寝スタイル。
ただ、これじゃ寝れないので、300円で毛布を借りた。

まわりをみわたせば、
すでに宴会を始めているオッサン20人。
いきなり歌いだす人。顔色が悪そうな婦人。
まちがったパンクロッカー風の青年。などさまざま。



小さい子供もいて。それはそれはメチャかわいかった。
ただ、写真を撮ってあげると
ぼくのことを「おじさん」と呼んだので、
それ以降カワイクなくなった。

そんな中、
僕の隣に座っていたいいかんじの日焼けした
「海の男」の風貌そのままのパンチパーマのおじさん二人が
もうすでに、ビール片手にちびちびやって
いい感じだったので、
会話を聞き耳立てていたら
ぜんぜん何言ってるのか聞き取れない

ていうかこれ、日本語か(汗)
どう聞いてもフランス語に聞こえるぞ。


あまりにも、興味があったので、
アタックして話しかけてみようとしたら。

いきなりむこうから、しゃべりかけてきた!

が、
何をしゃべりかけてくれたかはまったく聞き取れなかった。





ぼくが東京でミュージシャンをやっているということを言うと。
少しわかりやすい言葉でしゃべってくれるようになって(笑)
目の前にある、冷奴と、自分で採ったという「シラウオ」の
蒸し焼きを差し出してくれた。

ビールから始まって、焼酎、日本酒と、
バカバカ勧められるがままに飲んでると。
ぼくもそのうちすっかり出来上がってしまった。

もちろん、フェリーは、飲酒厳禁である。
うん。まぁ。かたいこというなよ。

どうやら話しているうちに。
このパンチパーマの兄弟は、
ふたりで農家と漁師を兼業してやっているそう。

右の少し細めのパンチパーマのおじさんは、漁師担当で、
左のパンチパーマのおじさんは、農業担当で長いもを作っているらしく。

今日、なぜ、このフェリーに乗っているかというと。
ふたりだエゾシカのハンティングに釧路に行くらしい。

毎年、このハンティングにすべてをかけているらしいふたり。
「俺たちにとってハンティングは男のロマンだ」
ということをたぶん。10回くらい聞いた。

そのうち会話の中から、
左のパンチパーマは、東京に住んでいたことがある
ということが判明、
今僕が、世田谷に住んでいることを言うと。
やれ、自分が住んでいた江戸川区の自慢話を
延々と30分くらい続けていた。

もちろん。酔いが回っているので、
何を言っているかぜんぜんわからない。

話し続ける左パンチをよそに、
はやくもいびきをかき始める右パンチ。

こういうひとたちは、
とにかく一本筋が通ってて気持ちがいい。

旅先で感じたことなんだけど。
なにかをやりきっている人たちって言うのは
説得力があって、生命力にあふれてて。
とにかくかっこいいのだ。

こういう風になりたい。とか思わないけれど。
なんか、こんな生き方もいいなと思わせてくれる。
今のぼくには、それで十分だった気がするな。


そう。
案の定、
真っ暗になっても2時くらいまで、
ぼくらは飲み続けていた。


で、
やっとこさお開きになった午前三時。
ぼくはひとりでぶらぶらとお風呂に入りに行ったんだけど。
これが失敗だった。

なんといっても今日の波の高さは6メートル。

三時の時点でおそらく、
一番波の高いところを航行しているんだろう。

船は右に左に揺れまくりで、
揺れるだけならまだいいんだけど
いろんな所からから異音がするし、いきなりでかい音がするし、
乗務員あわててるし、叫び声聞こえるしで
本当に沈むんじゃないかと思った。

たどりついた風呂場は五階の屋上付近にあって。
脱衣場で、服を脱ごうと試みるんだけど
あまりにも船が揺れまくるもんだから

片足で立てない=パンツが脱げない。

結局地面に座って赤ちゃんみたいな脱ぎ方をする26歳、天然パーマ。

ただ、
風呂場はもっとすごいことになってて。

それはもう、風呂のお湯が
アミューズメント・プールによくあるような、あれだ。
流れるプールとか、波の出るプールの
最大波力時の時みたいで
右に左に、とにかくものすごい勢いでうねりまくる。
思わず自分の目を疑った。

なんとか入ったものの、
せいぜい高さ5oセンチほどの浴槽で
本気で溺れそうになったのは生まれて初めてのことだった。



朝。
吐きそうな最悪のコンディションで見た
苫小牧の朝焼けは、それでも綺麗だったなー